同じ日本でも地域によって文化が違い、その影響からかコミュニケーションのしかたにも差があります。
ここでは関東と関西のコミュニケーションを比較し、その違いを探ってみました。
それぞれの出身者と良好な関係を築くのに、役立つかもしれません。
関東と関西、コミュニケーションの違いはズバリ…!
Which(どちらが)
関東では
Why(なぜ)
メンツに気を配る風習が強いため
How(どのような)
自分と相手の顔を立てるような
コミュニケーションを好む傾向にあります。
Which(どちらが)
関西では
Why(なぜ)
笑いや楽しさにこだわる風習が強いため
How(どのような)
話にオチをつけたり、ボケて笑えるような
コミュニケーションを好む傾向にあります。
コミュニケーションの特徴:関東人はメンツを守る、関西人は笑いにこだわる
関東と関西のコミュニケーション、あくまで傾向的なものですが違いがあります。
関東人はメンツを気にする人が多く、コミュニケーションにおいてもその要素を重視する傾向に。
笑いや楽しさにこだわるのが関西人で、積極性があり直接的な発言が目立つのも特徴のようです。
それぞれの文化や風土が影響していると思われますが、一般的な性質として考えられるもので、実際には個人差があります。
関東と関西ではコミュニケーション方法が違う?
その人の性格によって異なるであろう、コミュニケーションのしかた。
地域別にも違いの傾向は見られ、特に関東と関西で比較すると様々な差があります。
東京と大阪を中心に、関東と関西のコミュニケーションを徹底比較!
・関東人は自分と相手のメンツに気を配る
関東人によく見られるのが、メンツを気にする人が多い特性。
自分の体裁だけでなく、相手の顔を立てることも重要視し、配慮性優位なコミュニケーションを好みます。
結婚費用であれば、関東人は挙式や旅行などの儀礼的要素にお金をかけると言われますが、これもメンツにこだわる特徴があらわれているでしょう。
・関西人は楽しいことが前提、現実主義者でもある
笑いに厳しいと言われる関西人、コミュニケーションにおいてもその気質が見られました。
重要なのはいかに楽しいか、笑えるかであり、それをもって相手との関係構築をはかります。
関東人よりも直接的な言い方、特に心情を表すような会話ではハッキリと伝える人が多い模様。
現実主義で、見えないものよりも目に見えて実用的なものにお金をかける傾向があります。
関西人と言っても大阪、奈良、京都など、府県ごとに性質が微妙に違うという見方もあるようです。
なぜ東西で違いがあるのか?
こうしたコミュニケーションの違いは、関東の武士文化、関西の商人文化がルーツの一端と推測されます。
士農工商に象徴されるかつての武家社会、特に幕府の拠点である江戸ではそれが顕著だったでしょう。
武士には“武士道”という概念が存在し、主君への忠誠や自身の誇示、威厳などを重視する気質がありました。
これが江戸ゆずりの体裁にこだわる風土を定着させ、コミュニケーションにも反映されていったと考えられます。
一方の関西は、天下の台所と呼ばれた大阪を中心に、商人文化が栄えた地域。
商売のためには顧客との信頼関係が大切で、その構築のためにユーモア溢れる話術が磨かれていった。
商いのためのスキルがいつしか日常となり、関西流コミュニケーションの基礎となったのでしょう。
関東人と関西人、具体的なコミュニケーションの傾向
両者のコミュニケーションの違い、具体的な部分を紐解いていきます。
比べてみると、様々な面白い違いが見えてきました。
関東人に多いコミュニケーションの特徴
まずは関東人によく見られるコミュニケーションの特徴をあげていきます。
自分や知人に当てはまる点がないか、チェックしてみましょう。
・メンツに関わることは相手にも気遣いをする
相手にどのように見られているかが気になる関東人。
この話をして相手がいかに楽しんでくれるかよりも、面目が維持できるかどうかに重点をおきます。
礼儀を大切にし、たとえ無理なお願いをされても一旦は引き受ける、考えておくといった返事をする傾向に。
その場を丸く収めようとする、気遣いの姿勢がコミュニケーションの基本なのですね。
・間接的で定型性優位な喋り方が多い
地方から出てきた人が東京の人に“冷たい”と印象を抱くのは、会話の定型性が優位だからかもしれません。
別れの挨拶なら「またね」だけ、褒め言葉なら「美味しい」のみなど、追加の配慮や具体的な言葉がなくても十分伝わると思っているからでしょう。
良くいえば無駄がなく、悪く言えばそっけないと表現できます。
・「良いものをいかに高く買ったか」が自慢になる
見え方にこだわる関東人は、良いものを手にすることを誇りに思います。
それも“いかにお金をかけたか、高いものであるか”に重点をおく傾向に。
これだけお金をかけて良いものが買える、そういった力があるという自身の誇示に繋がってくるのでしょう。
関西人に多いコミュニケーションの特徴
関西人によく見られるコミュニケーション、どのような特徴があるのでしょうか。
イメージだけでは判断できない、意外な性向があるかも?
・失敗談は笑いのネタになるようアレンジ?
関東人と関西人のヘマ話行動に関する研究結果では、自分のヘマを誇張・脚色して笑える場合、関西人の方がより積極的にヘマを話すことがわかっています。
関西人は笑いに変えられるケースであれば、失敗談もコミュニケーションに活用するのですね。
・直接的にものう言う一方、具体的で配慮のある言葉も使う
関東人なら配慮する場面で、逆に直接的に表現しがちな関西人。
しかし、定型言葉だけになりにくいのも関西人のようです。
別れの挨拶であれば「またね、気をつけて」。
料理を褒める際は「ソースの味が美味しい」など、決まり文句に一言添えることで会話を有意義にしようとします。
・「良いものをいかに安く買えたか」を自慢する
関東人とは逆で、関西人は“いかに安く買えたか”にこだわる傾向にあります。
商人気質が浸透しているエリアなので、金勘定にはとことんシビア。
「こんなに値切った!」が自慢話になるくらい、良質な商品を安く手に入れることに価値を見出すのです。
カップルのコミュニケーション:東西の恋愛事情の違い
恋人同士となると、関東人と関西人ではどのように関係構築がはかられるのでしょうか。
パートナーに求めるもの、考え方の違いなどから、その傾向を探ってみました。
・関東人の恋愛感の一例
特に男性はメンツを気にする方が多いためか、女性にも気遣いを求める傾向にあると言われます。
彼が失敗した時は、さりげないフォローが一番効果的かもしれません。
女性が求めるものとしては、一緒にいて落ち着く・頼れるといった、安心感につながる項目があげられます。
性格や価値観などのフィーリングが合うことを重視し、いざという時にはたのもしい姿を期待しているようです。
・関西人の恋愛感の一例
男女ともに笑いにこだわる人が多い関西人。
特に大阪出身の方は、その傾向が強いようです。
関東女性よりも、関西女性の方が男性のトークスキルを重視する傾向にあります。
会話が合う、おしゃべりが弾む関係を望む点は、楽しいことが好きな地域性があらわれているでしょう。
東西の違いから考える、コミュニケーションの取り方
関東人と関西人がうまくコミュニケーションをとるために、気をつけたいポイントをまとめました。
関東人が関西へ、関西人が関東へ移住するケースを想定し、それぞれどんな点に配慮すれば良いかを見ていきましょう。
恋愛関係における注意点も考察します。
関東から関西へ!シビアな笑いにどう対応する?
関東人が関西へ移住する場合に、コミュニケーションにおいて注意したい点はどんなところでしょうか。
笑いに厳しいエリア特有の事情を汲んでおきましょう。
・話題やノリを合わせてみる
楽しい話が大好きな関西の人々ですから、話が始まったら自分も楽しむ気持ちで参加しましょう。
「ノリ悪いなぁ」と思われないよう、最低限の笑顔の練習はしておいた方が良さそうですね。
関西流のノリがわかってきたら、自然とそのテンポに馴染めるかも?
・エセ関西弁はNG
関西には地元愛の強い人が多く、自分の出身地に誇りを持っています。
これは関西弁に対しても同じで、間違った使い方には厳しい目も。
無理に関西弁を使うと、逆に馬鹿にしていると見られる恐れがあるのです。
「これってどういう意味?」と、理解を深めるところから始めるのがおすすめですよ。
・定型言葉に配慮ワードをプラス
関東人に多い、定型言葉だけのやりとり。
関西で多用すると、そっけない・冷たいと誤解を生む可能性も。
たまには定型言葉だけで終わらせず、配慮の気持ちを表す言葉を加えるのが良いでしょう。
別れの挨拶であれば、「気をつけてね」「また連絡するね」などが一例です。
関西から関東へ!首都圏の文化に馴染むには
先ほどとは逆に、関西人が関東へ引っ越すケースです。
コミュニケーションの違いを前提に、どのように立ち振る舞えば良いのか考えてみました。
・オチやツッコミを求めるのは厳禁
いつものノリで「オチないんかーい!」「ツッコミは?」と、相手に関西流のコミュニケーションを求めるのは避けましょう。
オチがある会話や、相手にツッコむ習慣があるのは、関西に限ってのこと。
関東はもちろん、他の地域でも滅多にない文化と言えるので、笑い要素は抑え気味にするのが吉です。
・損得感情を出し過ぎないように
お金に関しては現実主義な関西人ですが、関東でそれがシビアすぎると顰蹙(ひんしゅく)を買うかもしれません。
関東では、良いものにお金を出すのは当たり前。
「なんでこんなに高いの?」ではなく、「それだけの価値があるものなんだね」と話題を合わせるのがベターです。
・相手のメンツには最低限気を配る
関東人にとって、メンツを潰されることは耐え難いもの。
関西人からするとただのボケやツッコミでも、関東人にはそう思えないケースもあります。
特にビジネスの場では、より気をつけて言葉を選んだ方が良さそうです。
恋人同士なら?関東・関西出身カップルが関係を維持するコツ
自分が関東人で相手が関西人、その逆の場合もあるでしょう。
いずれにせよ大切なのは、互いの地域性や文化を否定したり、けなしたりしないことです。
良い部分は認め、プラスになると感じたことは取り入れることで、関係がより深まるはず。
ここはどうしても気になる、許容できない。
そうした点は話し合いや譲り合い、擦り合わせで埋めていくのが理想ですね。
「関西男×関東女」恋愛観……それぞれのタブーとは? [恋愛] All About(参照2021.8.26)
◆【関西女性VS関東女性】『恋愛アンケート調査結果』 ~「恋人選び」関東女性の2倍!『関西女性は「トーク力」重視』/≪好きな関西人男性≫ 第1位:明石家さんまさん、第2位:関ジャニ∞|ゴリラクリニック(医療法人社団十二会)のプレスリリース(参照2021.8.26)
同じ日本なのにこんなに違う!? ”関西”vs”関東”の恋愛観の違いとは? (2016年12月1日) – エキサイトニュース(参照2021.8.26)
やっぱり東西で違う?関東と関西で好まれる女性の特徴とは – モデルプレス(参照2021.8.26)
関西人の性格の特徴を徹底調査!その恋愛傾向や関東人との違いとは? | オトメスゴレン(参照2021.8.26)
面目重視の関東人、笑い重視の関西人。コミュニケーションの差を理解して関係構築を
関東人は、コミュニケーションにおいてメンツを気にする傾向にあり、相手への気配りも忘れません。
いかに笑えるか、楽しいかを重視する関西人は、金勘定にはシビアなもののユーモアに富んだ人柄が魅力です。
東西のコミュニケーションの違いは、地域性や文化の影響からなる性格、考え方の差から生じるものと推測されます。
あくまでも一部の検証や統計結果などを元に傾向を考察したもので、すべての関東・関西人に当てはまるものではありません。
とはいえ、地域ごとにコミュニケーションの取り方には少なからず差があります。
それを理解しておけば、異なるエリアでも良好な人間関係を築けるでしょう。
出典
篠崎,中西(2017)「言語行動の東西差―準備調査から傾向を探る―」PDF(参照2021.8.26)
友定,陣内(2004)「関西方言・関西的コミュニケーションの広がりが意味するの一全国6都市調査から一」PDF(参照2021.8.26)
丹羽,空,加藤,和生(2007)「人とのやりとりにおいて,関東と関西とでは違いがあるのか–自分のヘマを他者に話す行動を通しての地域文化差の探索的検討」PDF(参照2021.8.26)
書籍:日本博物館倶楽部(2001)「「関東」と「関西」おもしろ100番勝負」(参照2021.8.26)