生活必需品の1つである「トイレットペーパー」。
実は関東と関西で、トイレットペーパーに違いが見られるというのです。
東西における差は何か、トイレットペーパーの選び方や豆知識もお届けします。
関東と関西、トイレットペーパーの違いはズバリ…!
Which(どちらは)
東日本では
What(何が)
トイレットペーパーは「ダブル派」が
How(どのように)
多い傾向にあり
Which(どこで)
西日本では
What(何が)
トイレットペーパーは「シングル派」が
How(どのように)
多い傾向にあります。
トイレットペーパーは東日本でダブル派、西日本ではシングル派が多い!?
東西におけるトイレットペーパーの違い、それは「ダブル」か「シングル」かです。
関東周辺や東北地方では「ダブル」派が多数。
関西圏や四国になると「シングル」を選ぶ人が多い傾向です。
さらにダブル派は男性優勢、シングル派は女性がやや多いことがわかっています。
トイレットペーパーの「ダブル」と「シングル」
トイレットペーパーの種類を大別すると、「ダブル」と「シングル」に分けられます。
紙を重ねて2層にしたのがダブル、1枚だけのものがシングルです。
2枚重なっているため、厚手で感触が良いのがダブルの特徴。
層の間に空気が含まれることで、より柔らかい肌触りが実現されています。
対するシングルのメリットは、ダブルよりも1ロールの寸法が長い点。
同じ感覚で巻き取ると、シングルの方が長持ちする、という見方ができますね。
ダブルの1枚分よりも、シングルの方が厚めの紙を使っているそうです。
東日本ではダブル、西日本ではシングルが多い傾向
株式会社プラネットが行った意識調査によると、関東や東北、甲信越地方においては「シングル派」が多数。
近畿、中国、四国地方においては「ダブル派」が多くなったそうです。
東日本を中心にダブルを選ぶ人が多く、逆に西日本はシングル派の方が優勢という結果に。
その他のアンケート調査においても、関東周辺はダブル、関西周辺ではシングル派が多い、という内容が目に付きます。
・男女の好みもダブル、シングルに分かれる
同意識調査では、男性はダブル派、女性はシングル派が多いことがわかっています。
中でも女性は、ロールの入り数や巻きの長さを重視する傾向に。
家計管理や節約の意味から、買い得に重きをおく女性が多く存在し、それがシングルという選択にも繋がっていると考えられます。
意識調査 FromプラネットVol.135 <トイレットペーパーに関する意識調査>品薄になったトイレットペーパー、家庭でのストック数は増えた?|調査研究|知る・役立つ・参加する | 株式会社プラネット(参照2021.5.21)
なぜ東西で違いがあるの?
同じ日本でも、東西でトイレットペーパーの好みが分かれているのは驚きですね。
なぜこのような差が生まれたのか、独自に考察してみました。
・女性の意見が強いエリアではシングル派が多い?
“大阪のおばちゃん”や“オカン”に代表されるように、大阪を中心に関西の女性が強いイメージは多かれ少なかれあるでしょう。
大阪弁のざっくばらんな雰囲気に加え、男女の口調差があまりないことも、女性がハキハキものを言う印象に繋がっているのでは。
高知県には、男勝りで快活な女性を意味する“はちきん”という言葉があるなど、古くから強い女性のイメージが広まっているエリアです。
このように、関西や四国には女性=強いという印象が昔からあります。
先のアンケートにおいて女性にシングル派が多いことから、女性の意見が反映されやすい地域では、シングル多数という結果に繋がっているのではないでしょうか。
・男性の意見が強いエリアはダブルの傾向?
男性にダブル派が多いことから推測できるのは、江戸っ子や東男(あずまおとこ)の気質が少なからず影響しているのかも、ということ。
江戸に住む男性を指したこの言葉は、細かいことを気にしない粋の良さ、人情に溢れる特徴などで知られています。
一方で、金離れが良く見栄っ張りという性質も。
多少高くても良いものを使いたい、こんな江戸っ子の特徴が、ダブルを選ぶ心理としてあらわれているのかもしれません。
現在の東京は、様々な地域から人が集まる世界有数の大都市です。
地域性・県民性の違う人が大多数いると前提とした場合、日本全体では総合的にダブルを支持する人が多い、という予想もできるでしょう。
・関西圏がシングル優勢なのは商人気質の地域だから?
“天下の台所”と呼ばれていた大阪、今でも商人気質溢れる街として知られます。
金勘定に敏感な人が多い、そんな風土を感じさせる地域です。
ダブルに比べると、ロールの長さからお得なイメージがあるシングル。
関西人の研ぎ澄まされた金銭感覚が、自然とシングルを選んでいるのかもしれないですね。
日常的に使うトイレットペーパーだからこそ、少しでもお得に手に入れたいのは当たり前の感情ともいえるでしょう。
各種調査-統計・資料|トイレナビ 一般社団法人 日本衛生設備機器工業会/一般社団法人 温水洗浄便座工業会(参照2021.5.21)
10.トイレットペーパーのシングル・ダブルの違いって何ですか? | azfit(参照2021.5.21)
トイレットペーパーのシングルとダブル、お得なのはどっち?大手メーカーに突撃取材 | スーモジャーナル – 住まい・暮らしのニュース・コラムサイト(参照2021.5.21)
トイレットペーパーのダブルとシングル、どっちが得なのか?|@DIME アットダイム(参照2021.5.21)
トイレットペーパー、5割以上が「ダブル」を使用! 「シングル」多数は近畿のみ(全文表示)|Jタウンネット(参照2021.5.21)
ダブルorシングル、トイレットペーパーはどう選ぶ?
ダブルとシングル、どちらにもメリット・デメリットがあります。
それらを踏まえた上で、トイレットペーパーをどのように選べば良いのか考えてみました。
・使い心地を追求するならダブル
2枚の厚みと、層の間に空気を含むことで上質な肌触りを叶えたダブル。
使い心地の良さにこだわるなら、ダブルという選択が筆頭となるでしょう。
デリケードゾーンに触れるものですから、質感を重視したい気持ちは必然ですね。
・家計への優しさはシングル有利
シングルとダブルの巻き取る長さは、単純に2倍の差にはならないのだそう。
ダブルの方が若干短くなるものの、総合的に比較すると長持ちしやすいのはシングルのようです。
家計に対する優しさで言えば、やはりシングルに分があります。
・家族構成も選択の一助に
子供の有無や家族の年齢層などから、トイレットペーパーを選ぶのも考え方の1つ。
例えば、小さな子供はペーパーを巻き取る加減がわからず、長く使ってしまうこともあるでしょう。
子供が多い家庭では、シングルを常用した方が、トイレットペーパーの買い替え頻度が減るかもしれません。
年齢を経るほど、上質なものにこだわる方も珍しくないもの。
そうした家族が多い場合、ダブルを選べば満足感を高められそうです。
意外な歴史も!?トイレットペーパーに関するトリビア
生活に欠かせないトイレットペーパーは、いつどこで生まれたのでしょうか。
ペーパーが誕生する以前は何を使っていたのかなど、気になるトイレ事情について調査しました。
トイレットペーパーがない時代は何を使っていた?
まだトイレットペーパーがなかった時代、日本では「籌木(ちゅうぎ)」と呼ばれる道具を使っていました。
お尻を拭くための、細い木片のことです。
貴族が使う用の籌木は、表面を削って滑らかにするなど、身分によってその質に差があったとか。
海外では小石、葉っぱ、海藻、樹皮などが使われており、地域によってトイレ文化に違いがあるのです。
紙で始末するようになったのは?
日本では、平安時代末期から鎌倉時代の頃には、紙で拭くケースがあったと考えられています。
同時期に描かれた絵巻「餓鬼草紙」において、排泄をしている人の周囲に紙が散乱していることが、その根拠の1つ。
当時は紙が貴重で、誰もが自由に使える環境ではなかったでしょう。
日常的に使える紙が庶民まで広まったのは、江戸時代からです。
手漉きで作られた“チリ紙”のほか、トイレの始末には“浅草紙”という漉き返し紙が使われていました。
欧米が発祥と言われるトイレットペーパー
今でこそ当たり前になっている、ミシン目のついた紙をロール状にしたトイレットペーパー。
アメリカ、あるいはイギリスで最初に作られたとの説があります。
日本に伝わったのは明治時代で、自国で生産を開始した時期として記録されているのは、大正13年。
かといって、すぐさまトイレットペーパーがチリ紙に取って代わった訳ではありません。
オイルショックや水洗トイレの普及を経て、昭和53年にトイレットペーパーの生産量がチリ紙を上回るのです。
トイレットペーパーが浸透しきったのは昭和末期、そう考えると意外と歴史が浅いように感じますね。
(財)京都市埋蔵文化財研究所・京都市考古資料館(1995)「籌木とトイレ遺構」PDF(参照2021.5.21)
平安時代の旅でのトイレ事情 / 更級日記紀行(参照2021.5.21)
人類で初めてトイレットペーパーを使ったのは誰で、いつの時代? (2018年10月23日) – エキサイトニュース(参照2021.5.21)
東西のトイレットペーパーは「ダブル派」か「シングル派」に分かれる
関東と関西のトイレットペーパーの違いは、ダブルとシングルどちらを使う人が多いか、という点です。
東日本ではダブル派、西日本ではシングル派の地域が多い傾向にあります。
それぞれの利点を比較し、家族構成やライフスタイルに合ったものを選ぶのが良いでしょう。
トイレットペーパーにまつわる歴史を知ると、そのありがたみを改めて実感できたのではないでしょうか。
出典
誰も知ろうとしなかった「拭く紙」│58号 日々、拭く。:機関誌『水の文化』│ミツカン 水の文化センター(参照2021.5.21)
関野勉(2012)「トイレットペーパー 原始(始)末物語」PDF(参照2021.5.21)