水でお米を綺麗にする際に使う「研ぐ」という言葉があります。
なぜ「洗う」と表現しないのでしょうか。
現代の事情も交えて、お米を「研ぐ」理由を解説しましょう。
お米を「研ぐ」理由はズバリ…!
When(いつ)
昔の
What(何が)
精米方法は
How(どのように)
手作業を中心とした作業であり
Why(なぜ)
糠(ぬか)が十分に取り除けなかったため
研ぐことで糠を除去する必要がありました。
昔の米は糠を落とすために「研ぐ」必要があった
お米を「研ぐ」理由は、米に残った糠をこすり落とすためです。
優しく洗うだけでは取れない糠を除去し、美味しい白米に近づけるための方法でした。
現在は精米技術の向上により、「洗う」程度で十分な白米がほとんどと言われています。
お米を「研ぐ」とは?
「研ぐ」という言葉には、砥石で刃物を鋭くしたり、磨いて綺麗にするという意味があります。
お米に対しては後者に近く、水とともに米を磨いて糠を落とす意図を持ちました。
「洗う」よりも強く擦って磨く必要があったのは、昔の精米技術が主な要因と考えられます。
糠の落ちが悪かった昔の精米方法
機械のなかった時代は、臼や杵で精米を行っていました。
臼に入れた玄米を杵でつく、時間も力もいる大変な仕事だったのです。
時代が進むと足踏み式の臼や水車などが用いられるように。
それでも今のように機械が自動で行ってくれるものではなく、技術においても発展途上の段階でした。
そのため精米後でも糠が多く残っており、炊飯前に研ぐ必要があったのです。
動力のついた精米機が使われ始めたのは、明治になってからとされています。
昔の米の研ぎ方は”強く擦る”
昔ながらのお米の研ぎ方は、手で力強くゴシゴシと行います。
米同士をこすり合わせるようにして、付着している糠を削ぎ落とすのです。
手のひらでギュッギュッと押すように研ぐことで、糠を落とし匂いや風味の向上に繋げていたと考えられます。
技術が進んだ現在の精米方法
手作業で精米していた昔と違い、現在は専門の精米機を使うのが一般的です。
大型工場などでは厳しい検査基準が設けられており、複数のチェックを通り抜けて初めて家庭用のお米として販売されます。
科学の進歩によって、精米技術は昔よりも遥かに向上。
精米の段階で糠もほとんど落ちるため、研ぐ必要はなくなったと言われています。
今の米の研ぎ方は”優しく洗う”
丁寧に精米されている今のお米は、昔ほど力を込めて研がなくても大丈夫。
むしろ軽く洗う程度にとどめた方が良いとされます。
強い力で研ぐとお米に傷や割れが生じ、食感の低下につながるのです。
その傷からでんぷんが流失すると、本来の旨味が失われることも。
研いで糠を落とす必要性がないので、優しく洗う程度にしましょう。
お米Q&A : お米は「研ぐ」ものなのですか、「洗う」ものなのですか? – 米ネット(参照2019.5.20)
「洗う」ではなく、お米を「研ぐ」というのはなぜ? 発見!フードマネジメントな365日┃中村学園大学┃フード・マネジメント学科特設サイト(参照2019.5.20)
お米を精米して食べるようになったのはいつから? | 農家が運営する能登の美味しい米の通信販売 -学割米の川原農産-(参照2019.5.20)
精米 | 伝統農具と稲作 | 食料 | くぼたのたんぼ(参照2019.5.20)
美味しく炊こう!現代流のおすすめ炊飯手順
現代の精米技術に合わせたおすすめの洗米、炊飯手順を紹介します。
同じお米でも、下ごしらえや炊き方次第で美味しさが変わるものですよ。
お米の準備と軽量
まずは炊くお米を計りましょう。
計量カップ(1合180ml)を使って、お米を山盛りにすくい上げます。
カップを超えた山の部分にはお箸などを使い、すり切り一杯分をきっちり計測してください。
雑に計ると炊飯時の注水量も曖昧になり、仕上がりが大きく異なってしまいます。
最初の注水がポイント
お米を計量したら、水を注いで洗っていきます。
洗い始めはお米が水の匂いを吸いやすいので、匂いの少ない浄水器やミネラルウォーターを使うのがおすすめ。
最初の水を入れて2〜3回混ぜたら、すぐに水を捨てます。
僅かに残った糠の香りを水分と共に吸ってしまうので、最初に注いだ水は素早く捨てて水切りしましょう。
お米を”優しく”洗おう
水を切ったら優しくかき混ぜるように洗っていきます。
ボールを握るような手の形で、円を描くように混ぜ洗いましょう。
決して力いっぱい擦ったり、押したりしないこと。
水が濁ってきたら捨てて、新しい水に入れ替えます。
この工程を3〜4回繰り返せばOK。
水の色が薄く濁っていても構いません。
・ 古いお米は「研ぐ」方が美味しいことも
1年以上経過したような古いお米は、昔ながらの研ぐ方法が適している場合があります。
お米は表面から劣化すると言われるため、古くなったお米ほど表面の劣化部分を研いで除去した方が良いのです。
備蓄して月日が過ぎてしまったなどの古米は、強めに研いでから炊飯しましょう。
・ 水が透明になるまで洗う必要はない
水が白く濁っていると、まだ汚れているかも…と思いがち。
しかし、水が透明になるほど洗うのはやりすぎです。
洗米に時間をかけすぎると、お米の栄養や旨味が水とともに流失します。
水の色ではなく、回数を目安にして洗米の工程を終えましょう。
炊飯器にセットしたらしばらく水に浸ける
洗い終わったお米を炊飯器にセットし、米の量に応じた目盛りまで注水します。
お水は最初の時と同じく、カルキ臭の気にならないものがベストです。
水を注いだら、この状態で30分〜2時間ほど放置。
放置している間にお米の中心まで水が浸透し、ふっくらとした炊き上がりが実現します。
放置時間は水温によって異なりますが、夏場など水温が高い時は30分程度、冬場など冷たい場合は2時間を目安にすると良いでしょう。
蒸らし終わり〜ご飯を盛るまで
炊飯器によって違いますが、最近の製品は蒸らし終わってからお知らせ音が鳴るものが多いようです。
音が鳴ったら蓋を開け、しゃもじを垂直にして十字に切ります。
切ったご飯は4等分されるので、4分の1ずつ底からすくい上げるようにほぐしましょう。
お米の粒を潰さないように、ふんわりと混ぜてからお茶碗に盛ります。
炊いたご飯の保存方法
炊いたご飯を当日に食べきれなかった場合は、冷凍保存するのがおすすめです。
そのまま炊飯器の中で放置すると、変色や風味の低下に繋がることに。
温かいうちに1食分ずつ小分けにし、ラップで包むか保存用パックなどに入れて冷まします。
冷えたら冷凍庫で保存しましょう。
食べる時には電子レンジでふっくらと解凍してください。
【実はやりがちなNGとは】お米の研ぎ方の基本を見直して! 美味しく炊こう! | 東京ガス ウチコト(参照2019.5.20)
おいしいご飯の炊き方・おいしいお米の炊き方【炊飯ジャーでの美味しい炊き方】(参照2019.5.20)
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精米技術が低かった頃は「研ぐ」必要があったが、現在は「洗う」で十分
お米を「研ぐ」理由は、精米技術が不十分だった時代に糠を落とす必要があったため。
研ぐことで糠をそぎ落とし、美味しい白米に近づけていました。
現在は精米技術の向上により、軽く洗うくらいの方がお米を傷つけずに済むのです。
古米など特別な事情のお米以外は、優しく洗米することが美味しく炊く上でもポイントとなります。
出典
ご飯の炊き方|料理の基本・初心者向け情報なら味の素パークの【レシピ大百科】(参照2019.5.20)
おいしい米の研ぎ方(なぜ米を研ぐのかを紹介):白ごはん.com(参照2019.5.20)