様々な食の違いが見られる関東と関西、今回は「ラーメン」にフォーカス。
ご当地ラーメンを中心に、東西の違いは何か調査しました。
スープ、具材、麺……関東と関西のラーメンは何がどう異なる?
関東と関西、ラーメンの違いはズバリ…!
Which(どちらが)
関東では
What(何が)
醤油味のスープが主流で
How(どのような)
ちぢれ麺をあわせたラーメンが
多い傾向にあります。
Which(どちらが)
関西では
What(何が)
豚骨系のスープが多くなり
How(どのように)
ストレートの細麺をあわせたラーメンが
よく見られる傾向にあります。
関東は醤油味とちぢれ麺、関西は豚骨系にストレートの細麺がよく見られる?
関東と関西、それぞれ有名なご当地ラーメンを中心に調べると、スープの味と麺の種類に違いの傾向が見られました。
東日本を中心に多いのは、醤油味のスープにちぢれ麺が入ったラーメン。
西日本に行くと豚骨系が見られるようになり、ストレートの細麺を採用するケースがしばしばありました。
もっと細かく追求すると、場所ごとに多種多様なラーメンが存在しており、地域性が出やすい料理であるといえます。
関東のラーメン:醤油味が多く、ちぢれ麺を使う傾向
関東や東北のご当地ラーメンには、鶏ガラや豚骨から出汁をとった醤油味のスープが多く見られます。
山形県の米沢ラーメン、福島県の白河ラーメン、栃木県の佐野ラーメンなどがその一例。
いずれもあっさりとした醤油味のラーメンで、スープがよくからむちぢれ麺を使うのも特徴です。
トッピングはネギやチャーシューなどスタンダードなものが多いほか、海苔やなるとを飾ったものもあります。
関西のラーメン:西に行くほど豚骨が目立ち、ストレートの細麺が多い
近畿・関西方面にくだると、醤油に加えて白濁スープの豚骨味ラーメンが増えてきます。
天下一品の発祥地である京都のご当地ラーメンは、豚骨ベースの濃い醤油味。
和歌山県では豚骨醤油と呼ばれるスープの種類があるなど、こってりとした豚骨系が普及しているようです。
九州までくれば、豚骨ラーメンの説明は最早不要でしょう。
麺の種類も多彩ですが、豚骨と相性の良いストレートの細麺を採用したラーメンがよく見られますね。
京都では九条ネギを具材とするなど、地域に馴染み深い食材が使われることも珍しくありません。
東西でラーメンに違いが見られる理由は?
東日本と西日本では、古くから食文化に違いがあります。
その1つは、水質の違いからなる出汁のひき方です。
関東は硬水寄りの地域なため、昆布の出汁がひきづらく、かつお節や醤油で味を整える方法が主流でした。
昆布出汁がよくひける軟水は、関西に多い水質。
うまみが強い出汁の味付けが普及したのは、軟水と相性が良かったためです。
美味しい醤油の使い方を知っている関東では、醤油味を中心にラーメン文化が発達したのではないでしょうか。
逆に関西では、ラーメンよりもうどん人気が高いと言われています。
昆布出汁との親和性が高い以外に、ラーメンに比べ安く食べられることも支持されている理由でしょう。
関東と関西、ラーメン文化の違い
東京を中心に、幅広いジャンルのラーメンが存在する関東。
ここまでラーメン文化が発達したのは、関東の食文化と相性が良かったことに加え、日本で初めてのラーメン店が東京にあった点も大きいでしょう。
様々な地域から人が集まったことで、スープや具材の種類も多様化。
都市化とともに、ラーメン文化も繁栄していったのではないでしょうか。
対して関西では、上述の通りうどんが覇権を握っている印象が強いです。
ラーメンが不人気な訳ではないですが、東日本に比べるとうどん文化の方が浸透していると言えそうですね。
東西だけじゃない“地域差”の大きいラーメン
東西のご当地ラーメンを比較した結果、広く浅く見れば一定の傾向はあるものの、突出した特徴でまとまっているとも言い切れないようです。
特に東京は、“関東”と一括りにできないラーメンの多様性があります。
味の種類や濃淡、麺、具材に至るまでその組み合わせは幅広く、まさにラーメン無国籍地帯。
北海道は味噌や塩、九州は豚骨が頭一つ抜けているなど、他に類を見ない個性的なエリアも。
このように、ラーメンは地域による差の方が大きいと考えられますね。
現地の食材、伝統が詰め込まれたご当地ラーメンだからこそ、その土地の人々に愛されるのでしょう。
ラーメンの歴史:中国から伝播し東京から全国へ
ラーメンは中国から伝わった料理で、15世紀にはその原型となる料理が日本で食べられていたそうです。
上でも触れましたが、日本で初めてラーメン店が誕生したのが東京・浅草。
明治43年開業の「来々軒」というお店で、醤油ラーメンを生み出したことでも知られています。
関東大震災を機に、ラーメン店は経営の場を“屋台”へ移すことで全国へ浸透。
より本格的に人気を獲得していくのは、第二次世界大戦後のことです。
天下一品について | 天下一品 -鶏ガラベースのこってりラーメンが自慢!-(参照2021.5.27)
大阪、ラーメン店なぜ少ない(謎解きクルーズ): 日本経済新聞(参照2021.5.27)
「味の地域差に関する調査2015」結果の速報 | 調査レポートを見たい | 国内外のマーケティングリサーチ・市場調査・産業調査ならJMAR(参照2021.5.27)
発表!日本全国「ラーメン県」ランキング 3位北海道、2位福岡、1位はまさかの…(全文表示)|Jタウンネット(参照2021.5.27)
日本のラーメンの歴史 – 新横浜ラーメン博物館(参照2021.5.27)
東北・関東・関西のご当地ラーメン|西山製麺株式会社(参照2021.5.27)
一度は食べてみたい!代表的なご当地ラーメン3選
国民食といっても過言ではない日本のラーメン、地元の個性が光るメニューも非常に豊富です。
いわゆる“ご当地ラーメン”と呼ばれるものの中から、代表的なラーメンの一部を紹介します。
北海道:味噌味といえば!「札幌ラーメン」
今でこそ当たり前になっている味噌ラーメン、その発祥地の1つとして有名なのが北海道・札幌です。
やや太めのちぢれ麺に、味噌を溶かし入れた濃厚スープが絡む一品。
野菜炒めを具材に使うことも多く、ガッツリと食べ応えがあります。
味噌の効果で体の芯から温まる、寒い地域ならではのご当地ラーメンなのです。
栃木県:王道の醤油味と平打ち麺「佐野ラーメン」
日本屈指のラーメン県といわれる栃木県には、特徴的な麺の佐野ラーメンがあります。
佐野ラーメンの麺は、“青竹打ち”という手打ち製法の平打ち麺。
手打ち特有の不均一さが程よい食感を残し、澄んだ醤油スープと絶妙にマッチングします。
具材や味付けこそオーソドックスな醤油ラーメンですが、麺の存在感で他の追随を許しません。
和歌山県:病みつきになる豚骨醤油味「和歌山ラーメン」
和歌山ラーメンには、主に2種類の味付けがあります。
1つはさっぱりとした醤油味、もう1つはコク深い豚骨醤油味です。
特に豚骨醤油味は、メディアで取り上げられるほど人気を集めたとか。
もともとはスープを煮詰め過ぎてしまったことがキッカケで、コクのある豚骨醤油味が誕生したといわれています。
ラーメンと一緒に、鯖の押し鮨である“早ずし”を食べるのが和歌山流。
東西でスープや麺の傾向が見られるが、地域性が反映される料理でもある
関東のご当地ラーメンは醤油味がメインで、あっさりしたスープにもよく絡むちぢれ麺を採用するケースが多いようです。
関西に行くほど豚骨系の味が溶け込み、それに合うストレートの細麺がよく見られます。
よりエリアを限定して見てみると、ラーメンの傾向は東西で二分できるものではなく、その地域の特徴が反映されていることがわかりました。
旅先で出会うラーメンが美味しいのは、きっと地元の魅力が詰まっているからなのでしょう。
出典
ラーメンの歴史と現在 – 農林水産省 — Google Arts & Culture(参照2021.5.27)
【ラーメン発祥と日本の歴史】ラーメンの起源と進化、有名店の系統と誕生秘話 | 店通-TENTSU-(参照2021.5.27)
【日本全国】ご当地ラーメン42選!ラーメン好きなら制覇してみたい♪|じゃらんニュース(参照2021.5.27)
<ご当地ラーメン図鑑>あなたの好みは?濃厚?あっさり?【旅色】(参照2021.5.27)
全国ご当地ラーメン – 新横浜ラーメン博物館(参照2021.5.27)
全国ラーメンマップ – ご当地ラーメンを多言語で紹介|タベルコト(参照2021.5.27)